統計データを読み解く熱中症を学ぶ

2023年熱中症搬送人数と熱中症対策のポイント

気温上昇で厳しさを増す日本の夏

今年の6月から8月の平均気温は1898年の統計開始以降最も高くなり、2023年は最も暑い夏になりました。

また年間の猛暑日・真夏日の最多記録が各地で更新され、東京都心では猛暑日数が22日、真夏日数が90日と過去最多となったり、福島県伊達市、石川県小松市で最高気温40℃を記録したりと酷暑の1年となりました。

温暖化やエルニーニョ現象などの影響を受け、これまで経験したことのない暑さになっているのではないかと思います。

日本の夏平均気温偏差

出展:気象庁「日本の夏(6〜8月)平均気温偏差の経年変化(1898〜2023年)」

https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/sum_jpn.html

2023年の熱中症搬送人数

5月から9月までの熱中症による救急搬送数は91,467人と平成 20 年の調査開始以降2番目に多い搬送数で、昨年の救急搬送数71,029人と比べると20,438人増加となりました。

また、9月は残暑が厳しく救急搬送数は9,193人と調査開始以降2番目に多い搬送数となりました。記録的な暑さが影響し、救急搬送数も増加したと考えられます。

年間救急搬送数

総務省「熱中症による救急搬送状況(平成20年~令和5年)救急搬送人員及び死亡者数(年別推移)」を加工して作成

仕事場での熱中症搬送数は?

仕事場(道路工事現場、工場、作業所等)での熱中症搬送数は9,324人で全体の10%を占めています。下記グラフを見ていただくとわかるように、令和元年から令和5年までの間で最多となりました。

記録的な暑さで、屋外での作業や空調が無い工場や倉庫での作業は厳しい環境であったと想像できます。

仕事場の救急搬送数数位

総務省「熱中症による救急搬送状況(平成20年~令和5年)救急搬送人員及び死亡者数(年別推移)」を加工して作成

熱中症対策のポイント

熱中症を引き起こすと重症化や亡くなるケースもあります。

熱中症対策のポイントは、職場や個人で熱中症対策を行って熱中症危険度を下げることが重要です。

・職場で出来ること

A.涼しい部屋での休憩

涼しい部屋で休憩を取り深部体温を下げましょう。深部体温を下げることで熱中症危険度を下げることが出来ます。

 

B.水分・塩分の補給

夏場の作業は大量に汗をかき体内の水分・塩分が減少するため、水分や塩飴を摂取しましょう。

ただし、塩飴がおいしくて舐めすぎると塩分の過剰摂取となってしまうので注意が必要です。

 

C.熱中症について教育を実施

熱中症のメカニズムや対策について教育を実施し、理解を深めることで熱中症を防ぐことが出来ます。

私たちは安全対策担当者・現場監督者・現場作業者へ向けた熱中症予防セミナーを実施しております。

ご興味ございましたらぜひお問い合わせください。

 

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D.熱中症危険度の管理をDX化

作業者一人ひとりの体調を把握したり、作業環境を計測するのには限界があります。DX化することで簡単に作業者の体調や作業環境を計測し、熱中症危険度を把握することが出来ます。着用者ごとに計測できるので、それぞれに合わせた対策を取ることが出来ます。

着用者それぞれの熱中症危険度を伝えるeメット。一人作業者を見守る「IoTモデル」、現場作業者同士で見守る「Me-mamo」をご用意しております。

・個人で出来ること

a.暑熱順化をする

体が暑さになれていない状態だと熱中症危険度が高まります。

湯船につかったり運動をしたりして、暑さに慣れ暑熱順化しましょう。

 

b.食事をしっかりとる

夏バテで食欲が減退し食べるのも億劫になりがちに。

食事をしっかりとり、水分や塩分も補給しましょう。

 

c.睡眠をしっかりとる

睡眠時間が短いと汗を多くかいたり、体温調節機能が低下したりします。

夜更かしをせず睡眠をしっかりとり体調を整えましょう。

まとめ

今年は40℃を超える観測地点もあり酷暑となりました。暑さが増したことによって救急搬送数も比例し、調査開始以降2番目に多い搬送数となりました。暑さを抑えることはできませんが、職場や個人で出来る熱中症対策を行うことで熱中症を防ぐことは可能です。取り組める対策を実施し、来年の夏も元気に乗り越えましょう。