統計データを読み解く

安全対策をデータで分析する

 

熱中症や転落事故のような労災対策は、建設業や製造業にとって 最も優先させるべき取り組みの一つです。

しかし、作業者の体調や現場の環境は組織によって大きく異なり しかも複雑化してきています。

本記事では、近年でますます困難になっている安全対策や労災の分析を 客観的かつ適切に行うための手法についてご紹介します。

安全管理の分析に必要なデータ

作業者自身のデータ

作業者自身の体調の管理を行うための肉体的又は精神的なデータです。
アンケートや体温測定がこれに該当します。
作業者一人一人によって結果が異なるため、組織や現場で一元管理する事は困難です。
また作業者自身に起因する問題もあるため、客観的なデータを取得する事も困難です。

 

作業者周囲の環境データ

現場の気温といった作業環境や、作業工数、作業内容の安全性等のデータです。
組織や現場の管理者でまとめて管理可能なデータですので、作業者自身のデータよりは分析しやすいと言えます。

 

 

定性分析と定量分析

定量分析とは

指標が定まった数値データを用いて分析する手法です。
安全管理の場合では、作業時間や体温のような具体的な数字で表記されたデータが該当します。
なお、体調に問題がないか(1~5)といったアンケート結果は数値ではありますが
指標が定まった数値でないため定量分析に該当しません。

 

定性分析とは

数値で表さないデータを分析する手法です。
体調に問題はないかというアンケート、作業内容が該当します。
データが感覚やイメージ、回答者の性格に左右されるため 分析的手法としては正確性に欠けます。

 

 

適切なデータ分析を行うには?

 

収集するデータの意味を理解する

以下のような分析案件をよく聞きます。

 

「作業者の心拍数データから熱中症の課題を分析してくれ!」

この事例の場合、「心拍数データは熱中症と相関関係にあり、熱中症の要因は心拍数データ以外存在しない。」
という前提のもので分析する事になります。

 

しかし上述の通り、安全管理分析には作業者自身のデータ(心拍数)の他にも
環境に関係するデータ(気温等)も必要になります。

 

ここで問題なのは、環境に関するデータを測定していない事ではなく
「環境に関するデータを除外しても分析できる」理由を考慮していない点です。

 

例えば、「気温が高くなると心拍数も上昇する」という仮説前提でデータを収集するのであれば
本当に心拍数のみで適切な分析を行えるか心拍数のみで分析するにはどのようなデータ取得方法にすべきか
じっくりと検討する必要があるでしょう。

 

間違っても「手元にあるデータが心拍数しかないから」という理由だけで、他のデータを除外してはいけません。

 

 

合計値や平均値の扱いに注意する

合計値や平均値は一つ一つのデータを無視します。

例えば以下の表のような2つ現場のデータは、データ一つ一つが異なっていても、合計値は同じになってしまいます。

データの合算値は、仮説を得るまでの傾向の一つというに認識を留めておきましょう。

 

作業者A作業者B作業者C作業者D合計
現場1141511
作業者E作業者F作業者G作業者H合計
現場2233311

 

 

個別のデータで分析する

データは原則、個別に分解したものを活用します。
先の例は合計値を記載してありますが、「現場1と現場2のリスクは同程度である」という結論にしてはなりません。
作業者個別のデータでは作業者ごとで異なったリスクが発生しているからです。

 

上記事例の場合、「現場1では特定の作業者の数値が高く、現場2では全員が同程度」であり、「何故、現場1のみ特定の作業者が数値が高くなるのか?現場2と比べて現場1は環境に問題あるのか?または作業者個人の問題なのか?」という分析が適切な分析になります。

 

組織や現場ごとの合算値や平均値を適切に扱う

上記のような作業現場が2つしかない場合では、作業者の個別データを比較しやすく、分析結果は容易に得られます。
しかし、無数の現場が存在する場合、個別のデータを比較する事は容易ではありません。
そこで現場毎の合算値や平均値を使い、現場毎の傾向を掴む事が必要になります。

 

ここで重要なのは、あくまで**合算値や平均値は、「傾向や仮説を掴むためのきっかけに過ぎない」**と認識することです。
合算値から傾向や仮説を得たら、必ず個別データの深掘り分析(ドリルダウン)を行いましょう。

 

定量分析と定性分析を組み合わせる

データ分析は客観的な指標に基づく定量分析で行う事が原則です。
しかし、数値化できるデータは限られております。
上記の現場1のBさんやDさんの数値が高い理由に至るまでは多くのデータが必要になります。

 

しかし、定量分析では取得できるデータに限りがあります。
「熱中症リスクの分析には飲酒のデータが必要ではないか?」という仮説を立てたのであれば
心拍といった定量分析に加え、アンケートのような定性分析も適切に組み合わせる必要があります。

一人で分析しない

分析は何らかの仮説前提をもとに行います。
そして仮説、検証、再仮説を繰り返す事で問題点の発掘に至ります。
この仮説⇔検証の繰り返しの数が多いほど分析の精度は向上します。

 

安全管理部門や経営者、現場管理者といった立場の異なるメンバーが意見交換する事で
より精度の高い分析が可能になります。

分析に適したDXツールとは?

大規模な組織や現場の労災や安全管理を定量的に行うためには、最新のIT技術を駆使したDXツールがかかせません。
適切な分析を成し遂げるためのDXツールには以下の条件が必要と言えるでしょう。

  • 分析に至るまでの何らかの仮説に基づいた定量的データを取得できる。
  • 定量的データは、作業者自身に関するデータと作業環境に関するデータを各々1つ以上取得できる。
  • 現場や組織ごとの合算値から作業者の個別データへの切り替えが、容易かつ瞬時に可能。
  • 組織や現場が階層ごとに管理可能で、分析に応じた切替が容易。
  • 定性的データも取得可能であり、定量×定性を組み合わせた多次元的な分析が可能。
  • 異なる部門や協力会社でリアルタイムのデータを共有できる。

まとめ

安全管理や労災を客観的に分析するコツと注意点をご紹介しました。
データを取得するDXツールはデータを取得する事自体が目的になりがちですが
上手に分析する事で現場の改善につながります。

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